いやぁ申し訳ない。


http://d.hatena.ne.jp/gachapinfan/20060512#c
「平明な文章の書き方」
(gachapinfanのスクラップブック)


http://d.hatena.ne.jp/himagine_no9/20060514
「平明な文章の書き方(らしい)」
(ちょびっと試される。)

 先日『プレジデント』誌での記事「ビジネス文を書くときの躓きポイントと解決のコツ」について書いたのだが、そこでは敢えて id:gachapinfan さんの引用だけを頼りに(ネタ元記事を読まず)感想を書いた。ありがちな「平明な文章の書き方」(注:その矛先は『プレジデント』誌のネタ元記事に向いているのだけど妥当性がその時点で不明)に対する反論をまず示しておこうという趣旨だ。
 引用から受けた印象が実際の元記事とは異なる内容だったとしたら、それはそれでネタにできるだろうという考えだった。ところが申し訳ないことに、私が書いた感想をもとに gachapinfan さんが記事を改訂されたようなのだ。あくまで前の記事で私が書いたのは私の考えでしかなく、これを元の引用部に反映させてしまうとネタ元記事との乖離が起こってしまう。
 そこで、お詫び代わりにまずこの作業をすることにした。 gachapinfan さんの元の引用を基にして、実際のネタ元記事を読んだ私の補足を加えたものを掲載する。できればこちらを参考に記事を再度訂正していただければ幸いです →gachapinfan さん。

 なお脚注にある文章はネタ元記事にある記述ではなく、私が感じて補足したものである。そのあたりチューイされたし。

  1. 「テーマ」がきちんとわかっていますか?
    • 「事前メモ」並び替え法
      • 何を書くのかはっきり決める
      • 「テーマ」に対する自分なりの問いを立てる
      • 上記の問いから思いついたことをランダムに書き出していく
      • 上の書き出し(事前メモ)を並び替える(構成する)
  2. 「主語」と「述語」の関係は適切ですか?
    • 「説明」挟み込み法
      • 「主語」「述語」からなる文章については、先にこれらを書き、修飾語を挟むように挿入していくと間違いが少ない(ワープロだとやりやすい)*1 *2
      • 小テーマの異なる文は二つに分割する
      • (×)「私のこれからの目標は、指導力があってアグレッシヴでありながら、部下に対する包容力を失わないリーダーになることは、とても難しいと思います。」
      • (○)「私の目標は、指導力があってアグレッシヴでありながら、部下に対する包容力を失わないリーダーになることです。しかし、そのようなリーダーになることは、とても難しいと思います。」
  3. 「修飾語」の順番は間違っていませんか?
    • 「言葉の順番」入れ替え法
      • (△)「わが社は七月に、世界最小の集積回路を搭載した携帯電話を発売します。」*3
      • (○)「わが社は七月に、集積回路を搭載した世界最小の携帯電話を発売します。」*4
  4. 「接続語」を使いすぎていませんか?
    • 「文の関係」見直し法
      • 「つまり」を連発されると、何と何が等置されているのか追うのがしんどい
      • 「しかし」を連発されると、*議論が堂堂巡りしている印象をうける
      • 順接の「だから」、逆接の「しかし」、説明・要約の「つまり」。これらの接続詞の前後で文章がどう繋がっているのかきちんと意識すること。*5
  5. 「指示語」の分量はだいじょうぶですか?
    • 「読みやすさ」優先法
      • 文脈上特定可能である場合は指示語を省略してもかまわない
      • 逆に、指示語のいくつかを指示する語そのものに置き換えると読みやすくなることがある(リズムを大切に)。
  6. 「事実」と「意見」がごっちゃになっていませんか?
    • 「書き手との同化を求めることにより、読み手を動かそうとする」のではなく、「客観的な事実で納得させることにより、読み手を動かそうとする」ほうが望ましい
      • わかりやすいか
      • 正確な文章か*6

(『プレジデント』誌を読んだ後の感想に続く‥‥か?)


【追記】
 エントリーの後でコメントを戴いた。私の記事を反映させたのではなく、元ネタ記事の内容をより理解しやすいように記述を改めたとのこと。確かに解りやすくなっておりました。このエントリーが宙に浮いたけれども、まぁここは私流のまとめってことで。私は元ネタ記事に必ずしも賛同するものではないので、すこしアプローチが変化してるよね。

*1:ただし日本語では「主語」が省略されることが多く、また修飾語が「主語」「述語」に挟まれるとは限らない。そのときは文頭からの流れ(およびそれに対応する「述語」)を見失わないよう気を付けることである。

*2:「主語」「述語」的な英文法の概念を使うよりも、本当は日本語に適した概念で表現すべきなんだよね。「述語」の形が呼応するのは「主語」なのではなくて「助詞」なんじゃないの、と。係り結びのような感じで。

*3:「世界最小」が「集積回路」にかかるのなら、この語順でも問題ないと思う。一方、「世界最小」なのが「携帯電話」だとしたら、この語順では伝わらない。ネタ元記事では後者の前提で論じている。

*4:この文章、本当は gachapinfan さんの引用とネタ元記事の文章とで異なっている。私は gachapinfan さんの文章の方がより良いと思うのでそのままにしておいた。ネタ元記事での回答例は「わが社は七月に集積回路を搭載した世界最小の携帯電話を発売します」。つまり句読点が入っておらず、「七月に」と「搭載した」の親和性が高いため誤解を生みやすい。よって句読点を打つべきなのである。なお句読点が嫌なら「集積回路を搭載した世界最小の携帯電話をわが社は七月に発売します」と入れ替える方法もある。

*5:順接なのに「が」で繋いでしまうことって結構ありがち。

*6:主観的になりすぎないために、この「正確か」という基準は役に立つ。主観に流されて書く文章は得てして正確性を無視しがちになるからである。