Fri, Apr 09

  • 10:10  基本問題小委員会(第1回)を傍聴中。
  • 10:12  今期は、今回と次回でヒアリング。第3回(5/31)に委員から意見書を出してもらって、第4回(6月下旬)に事務局が報告書案をとりまとめ、夏を目途に報告書を作るとの事務局説明。
  • 10:13  今日のヒアリングは、GLOCOM客員教授・米国弁護士の城所岩生氏、弁護士の遠山友寛氏の2人。
  • 10:16  なお、報告書のとりまとめに向けた論点として、事務局は「論点1 デジタル・ネットワーク社会に対する認識、評価について」「論点2 論点1での認識の下での著作権制度の果たす役割について」(つづく)
  • 10:16  ??「論点3 今後の検討が必要な著作権関連施策に係る(現時点で解決の得られていない課題を含む)とそのとるべき方向性について」が挙げられている。論点3が焦臭い。事務局は「保護期間延長問題について意見をいただくのもあり得る」と説明。
  • 10:18  加えて、事務局資料では「現行制度を前提に著作権情報の集中処理期間や集中処理技術の検討」「新たに設けるべき支分権の規定や権利制限規定」が挙げられている。今まで議論に上がってこなかったものを、委員意見で吸い上げる!?
  • 10:18  小委員会ではすでに、城所先生の発表が始まっている。
  • 10:20  城所先生の発表は、パワポとレジュメが配付資料になっているので、文化庁サイトに上がった後それを参照のこと。
  • 10:23  城所先生の発表の題は「グーグルが提起した著作権問題」。まずYouTubeと米国デジタル・ミレニアム著作権法DMCA)の関係から話し出している。セーフハーバー条項の効用から、Tolerated Useという新しい著作物使用(ビジネス上の判断による侵害黙認)まで。
  • 10:25  角川歴彦氏の言葉を引用。「iPodYouTubeの成功は技術イノベーションによるものではなくビジネスモデルとDMCAの制度イノベーションがもたらした。新しい時代の著作権制度は、産業著作権と「国益」の視点でいかにして制度イノベーションを実現するかが問われている」
  • 10:27  Google Book Search問題の概要を説明(中継省略)。「孤児著作物法案は前議会まで3期連続で提案されたが、陽の目を見ず→その間隙をグーグルに突かれた形だが、今議会では未だに法案は未提出」
  • 10:30  著作物利用の事前許諾を前提とする「オプトイン」制度から、まず利用して事後的に権利処理(権利者が利用を望まなければその申し入れを持って利用を停止する)「オプトアウト」制度への転換の必要性。 ※俺的要約
  • 10:32  名和小太郎氏の言葉を引用。「著作権1.0の骨格は19世紀末の知的環境を反映。その後の環境変化によってボロボロに。グーグルのオプトアウトによる現行制度の組み換えは著作権2.0の提案。米国はフェアユースというオプトアウトの迂回路を拡張することによって著作権2.0が実現できる」
  • 10:35  「データベース米国依存のリスク」「クラウド時代の情報安全保障」にまで言及。指摘する人も多い、日本語情報であっても海外のサーバに蓄積される問題(著作権保護の結果、日本から海外へ情報が流出)。米国が9/11から警察国家化している点に懸念。 ※俺的要約
  • 10:41  弁護士・遠山友寛氏「自分の小さい頃、貸本屋があって、立ち読みするとどなられていた。お金を払わないで中身を見るのが良くないと分かっていた。人のものを盗んではいけないという教育も受けている。では今はどういう時代か。著作権の問題はそういう原点が議論されていないのではないか」
  • 10:43  遠山氏「著作権者の承諾なしに利用しようということばかり前に出てきているのでは。著作物に価値があるのは誰も否定しない。価値があるからこそ、利用する。そして利用があって対価を得る。その対価でまた著作物を作るという原理原則。最近は「無償で利用していいのでは」という議論が多いと感じる」
  • 10:44  遠山氏「デジタル化で便利になった側面は評価できるが、著作権保護の思想は薄れてきているのでは。有形なものなら、模倣品を作ると「盗む」という意識がある。しかし無形だと、コピーしても許されると思われる傾向。これは、長年弁護士をやってきて理解できない感覚」
  • 10:46  書店で本を買わずにケータイカメラで写すのを「デジタル万引き」と名付けた点を評価。悪いことだと知って貰う効果。自身の経験からも、「海賊版ビデオ」と名付けて著作権侵害に対処した経緯を紹介。 ※俺的要約
  • 10:47  遠山氏「何でもタダでいいという「フリー」という発想が蔓延していて、創作者を考えないという思想。価値のあるものを盗んでいるということを基本的問題として言わなければならない」
  • 10:48  (「フリー」を歪曲して表現しているとしか思えんな。著作権絡みでは、あくまでも著作権を持つ人間が自らの著作物を開放する点に「フリー」の力点があるのだから。)
  • 10:49  遠山氏「価値のあるものが無くなってしまうのではと危惧。(ユーザーがよく言うような)「コピー権」に象徴されるように、10回までコピーできると、それはコピーフリーと同じようなもの」
  • 10:51  @akami_orihime そこを混同させつつ、「著作者に金を払うべき」と強引に持っていった印象ですね。貸本屋の話では、著作権に触れてませんでしたし(著作者に権利料なんて行ってなかったわけで)。  [in reply to akami_orihime]
  • 10:52  @tourly_sugary おわかりだと思いますけど、そこで「評価」してるのは私でなくて遠山弁護士ですので念のため。  [in reply to tourly_sugary]
  • 10:53  遠山氏「著作権法学者を「著作権利用学者」と呼んだことがあるが、いかに著作権を著作者の許諾なく利用するかという観点から議論が発展しているのではないか」
  • 10:54  遠山氏「報道では、利用者の声として、何でもタダでコピーできればいいと思っているかのように言われる。しかしデジタル万引きに関するアンケートでは、大部分の人がそうは思っていないという。本当にタダで良いと思っているのかはどうも分からない」
  • 10:55  遠山氏「残念ながら日本では「私的複製」の概念が固まっている。私的視聴のためならコピーして「永久」に保存していいということになっている」
  • 10:58  遠山氏「昨今では「日本版フェアユース」の議論をする先生もいる。著作権を守るための議論ではなく、許諾をいらないというケースを作ろうという。著作権者側がそれに対して同意するような類型なのかどうか、吟味をやらなければいけないだろうと思う」
  • 10:59  遠山氏「映画の著作権保護について、権利者側としてある行為に対し内容証明を出すか、訴訟を起こすかということは、たとえば自分の被害が無いものには(内容証明も訴訟も)やらない。100項目の事例について許される行為類型を作っている努力をされているが、」
  • 11:00  遠山氏「著作権者側からすれば、それはたいした問題ではないなと。それよりも、著作権保護が「退化」していくのではないかと危惧している」
  • 11:01  委員との質疑に入った。
  • 11:03  松田委員「フェアユースは権利制限で、実体法上の問題。オプトイン・オプトアウトは、許諾契約の正否の問題。分けて議論した方が良いのではないか」
  • 11:04  城所氏「契約があればそれに越したことはない。しかし著作権の世界では、たとえば(日本の)出版契約は半分も結んでいない状況」
  • 11:05  城所氏「ついでに遠山氏の話に補足。フェアユースで何でも良いというわけではない。許諾を取るのにものすごくコストがかかるということで、米国は私的複製をフェアユースで認めている(個別規定ではない)」
  • 11:06  城所氏「コピーライトクリアランスセンターが出来た後の判例では、そこで許可を取るのが簡単だから(私的複製が)フェアユースだと認めなかったこともある」
  • 11:09  中村委員「城所先生の(資料の)私見の部分で。プロ責法のセーフハーバーを著作権法で対処すべきとのお考え?」
  • 11:09  城所氏「著作権侵害については分けた方がいいのではと思う」
  • 11:10  松田委員「DMCAに基づいた制度設定を日本でするとすると、アップロードする側(個人)にどう対処するか。韓国ではスリーストライク制。そのバランスについてはどうお考えか」
  • 11:10  松田委員「YouTube状態が日本でも起こり、遠山先生が心配されてる状況が進むのでは。個人相手に責任を追及する手だてがない。そうなるとプロバイダでスリーストライクということになりかねないのでは」
  • 11:11  (スリーストライクを入れろという話ではなく、城所先生の話だとそうなりませんか、という趣旨。)
  • 11:12  城所氏「(著作権侵害が)乱発されるようなら、バランスを取ることも必要になるのではないか」
  • 11:14  松田委員「遠山先生に。ダビング10も「後退」である、YouTubeなどのような取り込みも「後退」だということになると、どうすればバランスが取れるのか」
  • 11:16  遠山氏「原点はひとつひとつの許諾。映画では、どこか管理団体があってそこが勝手に利用許諾することはない。個別の利用契約ができるから。契約が締結できない、できにくいということから始まっているが、本当にそうかと。僕は契約はできると思っている」
  • 11:17  遠山氏「米国脚本家・俳優・監督の組合がある。そうした契約を、労働条件を集合的に決めている。日本でもそういう努力がなされている」
  • 11:20  遠山氏「すべて契約しろと言ってるわけではない。30条を撤廃してアメリカのフェアユースを入れろと(自分は)主張していた。録画して後で見ようというのを著作権者が訴えるわけがない。」
  • 11:20  遠山氏「フリーテレビで流すのは見ることについては許諾しているわけだから、放送権料で対価の処理はできている。そこで個別に、後で見るために録画することまで対価を貰おうとはならない」
  • 11:21  松田委員「現状のままいくと、契約で促進しようと同じように考えているのがなかなか推進できない。基本問題で考えるなら、著作権契約を洗い出す検討が必要なのではないか。そこでオプトインとオプトアウトは必ず出てくる」
  • 11:24  松田委員「オプトインは従来の考え方と同じ。しかしオプトアウトがすべていけない、という状況ではなくなっているのではないか。それが許されるのがどの範囲かという議論になる」
  • 11:30  苗村委員「Google Booksは「デジタル万引き」と形は似ているが、それが大規模・合法的。しかし対価を払う。私的録音録画補償金のような有料の複製もあって、そういったことも反対なのか。オプトインが著作権の本来だとするなら」
  • 11:31  城所氏「フェアユースは無料。Google和解は、オプトアウトもお金を貰うこともできる。フェアユース推進派からすれば、判決を取ってほしかったという声もある。Google和解が既成事実になってフェアユースが認められない可能性も」
  • 11:32  遠山氏「デジタル万引きGoogleも同じだと思う。土地の強制収容と同じように考えたいが、国がそれをやるには相当高度のテストが必要だと思う。Googleが「便利だ」というだけで、お金を一方的に決めて使えると」
  • 11:33  遠山氏「人間はだらしないのでオプトアウトをするところまで頭が行かない。サイレンスの状況について、後に気づいて削除してもらえるというのなら分かるが。強制的に著作者の許諾なく利用できるというのはやめようと」
  • 11:33  遠山氏「また対価の問題だけでなく、媒体の選択についてこだわりを持っている著作者もいるのではないか」
  • 11:33  遠山氏「自宅で録画をして保存することに対して有料にするかという点。私のもともとの考えは一時的な固定には、お金を要求するのは映画会社もテレビ会社も「構わないんじゃないか」と」
  • 11:33  野村主査「遠山先生に。対価は客観的に決まるものでなく、権利者が決めるというお考え?」
  • 11:34  遠山氏「対価は合意(契約)によって決まるもの。JASRACの使用料規程のように、個別交渉でなく決めたものも一つの選択」
  • 11:38  大林委員「フェアユースの議論など、利用に流れていた議論がここで落ち着いてきたのではないか。私たちとしてありがたい。(実演・創作を)やっている人の価値判断は変わっていない(利用が変わってきているが)。そこを配慮していただきたい」
  • 11:39  大林委員「デジタル時代のコピーは、家庭でお札を作れる機械が売り出されているようなもの。別の例えだと、親切な文房具屋さん。消しゴムを欲しそうな子供が来ているので、万引きしそうだなと思いつつ、10個ケシゴムをあげると。でも何か空しい。そういう感じ」
  • 11:39  大林委員「著作権法の目的とも、文化の発展のためにこの法律があるということ。契約も著作権法があって成り立つことを確認したい」
  • 11:43  河村委員「事実とは違う話が出てきている。違法なものとごちゃまぜに一般の人が泥棒であるかのように言うのに違和感。時間をずらして見るのはOKだと。そういうものが可能になる仕組みがダビング10。こんなバカなことをやってるのは日本だけ」
  • 11:43  河村委員「お札を作るという話にしても、それを使うと犯罪。許されているわけではない。こと放送というのは情報を国民にもたらすもの。ドキュメンタリーやニュース、災害放送もある。それを一緒くたに「複製」である、「対価」であるというのはどうか」
  • 11:44  河村委員「お札を作るという話にしても、それを使うと犯罪。許されているわけではない。こと放送というのは情報を国民にもたらすもの。ドキュメンタリーやニュース、災害放送もある。それを一緒くたに「複製」である、「対価」がいるというのはどうか」
  • 11:46  遠山氏「いくつか反論。正しく購入したもののプレイスシフトが違法だとは言っていない。消費者はコンテンツを買ってるわけでモノを買っているわけではない。日本は規範を作るのが大事だと思う。ダビング10は何でもコピーできるという雰囲気を作ることがよくない」
  • 11:47  河村委員「おっしゃっている「盗む」とは具体的には?」、遠山氏「お金を払わずに取ってきて見る。鑑賞価値が利用されること」
  • 11:47  松田委員「ひとつ考えられるのは、自分の好きな放送番組をみんなにも見せたいとYouTubeにアップロードすること。それを見たい人がみると」
  • 11:50  遠山氏「価値のあるものなら、その利用についてはある程度の対価が発生すべきだろうと。そこに何らかの契約関係がなければ「盗んで」いることになるのでは」
  • 11:52  三田委員「考え方を共有しておかないことがある。ネットを見たり調べたりするとき、ほとんどはタダでできる。Wikipediaのようにタダで見られるのを前提にしている」
  • 11:53  三田委員「理科系の大学教授が書いた本は、本が売れることではなく、できるだけ多くの人に読んでもらって引用・転載してもらうことが実績になる。Googleの検索にかかって利用してもらえるのもメリット」
  • 11:53  三田委員「世に流れるコンテンツの大部分は、自分の発信した情報を多くの人に受け取ってほしいというもの。対価を要求しているわけではない。しかし一部には、筆一本でやっている人もいる」
  • 11:53  三田委員「いま放送番組を見逃しても、だいたいYouTubeに上がっていて、DVDを出しても売れない」
  • 11:53  三田委員「お金を欲しいという人も含めてオプトアウトやフェアユースでやってしまうのは危険ではないか。要求する人と「いいですよ」という人をどう仕分けするかが重要」
  • 11:54  事務局「次回5月10日」
  • 11:54  (以上で終了)
  • 12:23  @kentarotakahashデジタル万引き」は、書店の中で雑誌記事をケータイで撮る人が出てきたというんで、だいぶ前からマスコミ報道で使われている言葉ですね。 ちょっと検索したら、2003年のものでこんな記事が出てきました。 http://bit.ly/bjYfBH  [in reply to kentarotakahash]
  • 12:24  @kleinteich 文藝家協会の三田誠広さんです。ここのところの小委員会では、言いたいことをあまり言わせてもらえていない印象がありますね‥‥(不自然なほど)。  [in reply to kleinteich]
  • 22:58  今日の基本問題小委員会(第1回)会合の模様をTogetterでまとめてくださった方がいるのでご紹介。ありがとうございます。 @hideharus さん http://bit.ly/bGzPVO 、 @yski さん http://bit.ly/a6SEQg
  • 23:03  デコレーション付きでまとめてくださってる方もいますね。 @sura81 さん http://bit.ly/cXZzWM
  • 23:23  @tourly_sugary 三田委員の件ですが、ネットに叩かれたのが原因の自己規制というよりは、(私自身うがった見方だと思いますが)事務局から発言を止められてるんじゃないかと。自身で言うべきことと思ったのは堂々と発言していた人だけにそう見えるんです。  [in reply to tourly_sugary]
  • 23:26  今日の基本小委、もうお一方がまとめをしてくださってました。ありがとうございます。 @coffeebath さん http://togetter.com/li/13401
  • 23:42  外務省密約問題って映画化もされてたのか‥‥知らんかった。

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