ご指名なので一応レスしておく

http://b.hatena.ne.jp/ks1234_1234/20080523#bookmark-6220549


 id:ks1234_1234 氏から名指しでコメントされたので一応レスしておく。


 私的使用目的の複製については、「自分で所有権を持って」いるものに限るとの規定が著作権法上 無い。ある立場からすれば〈著作権法上明確にされていない〉とも言える。ただし俺はエンドユーザーとしての立場でものを言っているので前者の言い方を好む。
 実際こうした私的複製の範囲が明確でないとの認識は文化審議会著作権分科会私的録音録画小委員会での議論でも前提とされているところで、その明確化の一環として いわゆる「ダウンロード違法化」等が提案されている。その一方で、たとえば友人から借りたCDやレンタルCD等からのコピーについては依然 私的複製として解釈できる状態を維持する方向性も打ち出されている(もっともレコード協会から参加している委員などはこれを私的複製から外すよう要望していたが)。詳しいことは私的録音録画小委員会の昨年度の「審議の経過」や中間整理を当たっていただきたい。
 法解釈については様々なものが存在し得るが、著作権行政の当事者がどう解釈しているのかは一応の目安となるだろう(これが「正しい」とも言えない──最終的には裁判所の判断で決まることではあるから)。


 DVD-R については、 CPRM 非対応のものでも「録画用」なら私的録画補償金が課金されている。ただ「データ用」のものは私的録画に使われないとの建前でもって課金されていない(パソコンのデータバックアップ等に使って私的録画補償金を取られるのでは制度の主旨にそぐわないため)。その意味では課金されているか否かを回答するにあたり先のような場合分けが必要である。
 ネタ元との関連でひとつ補足しておくが、市販 DVD からのコピーについては補償対象とされていない。コピーが技術的に防止されているから、というのがその理由である(事実としてザルなのは当事者も承知してるだろう)。あくまでも私的録画補償金は放送番組からの録画に使われるからという理由で課されているものだ。


 なお私はあくまでもエンドユーザー(要は素人)の一人でしかなく、上記の解釈・認識が正確であるとは限らない。従って id:ks1234_1234 氏御自身でも調べていただくことを推奨する。その結果、私の解釈・認識に客観性を欠くと判断されるのならそれも良かろう。


(追記)
 私的録音録画小委の「審議の経過」と「中間整理」は著作権分科会での配付資料としてしか用意されていないようだ。探しづらいだろうから、リンクの形で在処を示しておく。


http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/010/07101103/004.htm
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/010/08020101/002.htm


 前者の中でも、この話題でドンピシャなのは以下の部分。


http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/010/07101103/004/026.htm