出来が悪すぎて、感動も萌えも無いツンデレドラマ

 玉置浩二が主演していた NTV ドラマ『あいのうた』が終了した。話は全く完結してなかったがね(笑)。もともと玉置浩二が出なければ私の興味を惹くような題材でもなかった上に、予告編や本編を流しながら見ていても爆笑(というか苦笑)の連続。ことごとく予想の斜め上を行く展開だから(もちろん皮肉)、正対して見るのが極めて苦痛だった。いくら玉置浩二のファンでも あれ褒めるようじゃダメだって!そこまで贔屓するこたぁない(もともと玉置浩二は仕事選びの目に長けてないんだからさ。)
 何が酷いかって、まず心理描写が見るに堪えない。良さげなシーンというのも数えるほどにはあったのよ。そりゃ曲がりなりにもプロの作だし。しかしセリフでくっちゃべりまくるから全てぶち壊し。感情を表現する余白もしみじみ見入る余韻も無い。まぁ制作側が、「見せる」ことをあの役者陣に要求していないということなのかも知れないが。玉置浩二を主役に据えるぐらいだし。
 しかも行動の一つひとつに合理的理由が全く用意されていない。「何でそうなるんだよ」的な設定やらシーン展開やらが多すぎる。視聴者としては作り手のマスターベーションにただ引き回されてるだけだな、ありゃ。話の中身とセリフの両方に致命的な欠陥を抱えているということは、演出の所為だけではなくて脚本家の方に根本的な責があると言えるだろう。

 最終回もやはり酷かった。主人公の死を予感させて進めていた話だったにもかかわらず、結局死なねぇでやんの。しかも都合の良い時に倒れるだけで、その画面からは何の説得力も感じられない。病気に対する迫真性の欠片も描かれず(考えたら全部セリフでの説明じゃね?)あんたら闘病生活を舐めとるのかと言いたくなるくらいの脳天気。
 しかも行動の論理性皆無にしてセリフだけでくっちゃべるのも健在。特に教会のシーンが酷かったな。ひたすらシラ〜という空気に耐えなければならなかった。

 主人公の病名が全く明らかにされない辺りで気づくべきだったんだよな。実在の病名を使ってしまったら、その後の容態がほぼ決まってしまうからな。そもそも病気を描く気など無かったのだな。いくら「死にたくない」など「一緒にいたい」だのやったところで、涙を浮かべる視聴者の背中に作者はアカンベーしてたってわけだ。
 玉置浩二はアルバム制作を控えているわけなのだが、おそらく このドラマに取られた3ヶ月の所為で完成しないだろう。その費やされた時間とは裏腹に、たいした成果の無かった仕事だった(あ、主題歌がそれなりに売れてるのか。たいした成果だ。笑)。

 とりあえず、あのドラマを見て違和感を覚えた玉置浩二ファンの方々(もしいれば、だけど)。あなたの感じ方は正常ですよ。あれは褒めるような出来ではありません。ドラマの中身も、玉置浩二の演技もね。