口当たりは良さげだが、腹に一物

http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0509/02/news051.html

 ITmedia で、 iTMS への楽曲提供が未だないソニーミュージックのインタビューが掲載されている。「『iTMS-J への楽曲提供は検討している』── SME、 音楽流通への考え」との記事。まぁ一応は穏当に、口当たりのよさそうなことばかり言ってはいる。しかしきちんと読んでいくとツッコミ所を丁寧に混入させてくれている印象。「実際に楽曲提供を前提とした交渉を行っていまして、それが8月4日には間に合わなかったというだけです」とある。ここ読んでニヒルに笑った方、手を挙げて。はーい。
 「CDに限れば、すべてを SACDDVD-Audio に切り替えればよりコピーを防ぐことができますし、実際に切り替えることも不可能ではありません。ですが、それがリスナーやアーティストにとって良いこととは思えないのです」。普段は客のことなど考えないコンテンツホルダーがこんな論法を使ったときは注意が必要だ。ハッキリ言おう。再生保証のないCDモドキをバラ撒き続けるくらいなら、いっそ SACDDVD-Audio に移行してもらった方がマシだ。リスナーやアーティストにとっても良いことだ。
 現に、ソニー井上靖氏(この方が当該記事でインタビューに応じている)は「レーベルゲートCDのシステム利用者があまり多くなかった」と認めている。「CDは汎用性も高く、メディアとしての限界を迎えているとは思えません」とも述べているが、将来、ソニーが新しい 「CCCD」 の導入を謀っているという話もあるぞ。ここでいう「CD」とは CDDA のことではなく、銀色円盤のことなのだろう。私はソニーを信用する気には正直ならないね。
 記事では、 iTMS 日本版への楽曲提供についても鋭く突っ込まれた。ソニー製プレーヤーを買わせて bitmusic や Mora に囲い込む気なのでは、との問いに「それは考えていません」「(海外版では提供しているのに)日本だけで囲い込みを行うというのはおかしいですよね」。 Mora は日本にしか無いよな。「価格が高く」 「DRM も厳しい」携帯電話向けサービスを「あれだけヒットして」なんて評価、音楽配信を「試行錯誤の段階」と呼んで憚らぬ。まるで携帯向けの方が理想だと言ってるようなもんだ。
 捨て置けないのは次の発言だ。「音楽配信をより拡大するには、 DRM やファイル形式などに何らかの統一規格を導入し、ユーザーへわかりやすさを提供することが必要なのかもしれません」。ソニーが言うか、ソニーが。今までソニーが音楽サービスをやる中で Mac に対応したものを用意したことがあるのか。ソニーのサイトじゃ、試聴すらままならねぇじゃねえか。レーベルゲートCD(および2)も最後まで Mac に対応しなかった(まぁ再生保証の無いものを対応されても関係ないけどね)。何を言っとる。