iTMS 上陸と共に顕在化する「音楽障壁」

http://blog.livedoor.jp/memorylab/archives/30518265.html

http://benli.cocolog-nifty.com/benli/2005/08/post_f4b4.html

 高橋健太郎氏の 『owner's log』 にて 「iTMS輸入権」との記事。 iTMS はシステム上、国ごとに配信曲・価格が違う。これは「輸入権行使に近いことなんじゃないの?」と高橋氏は言う。いやホント、そうなんだよなァ、私もそう思う。しかも困ったことに、国ごとにライセンスする音楽業界の商慣行とか、また国ごとに違う著作権の問題とか、仮に国境を越えた配信を目指すにしても高いハードルがあったりもする。何とかできないものか‥‥。
 高橋氏が「コンテンツホルダーが手に入れた絶対的な力」と表現しているように、この状況は権利者と消費者の権利バランスを崩している。現に日本の権利者が頑ななせいで、海外とは格段に酷い環境を日本人は強いられている。 iTMS が始まったことだけでは解消できない程の酷い環境──価格は高いは、ラインナップは見劣りするは、そもそも1曲買いのできない曲が多いは。権利者側の裁量だけが重視され、消費者に選択肢が与えられないような状況‥‥。 iTMS 上陸で改善したのはホンの僅か。
 これを解消しようと思えば、方法は二つ。まず音楽業界が悔い改めること。これはすぐには無理かねぇ‥‥まず徹底的に痛い目に遭わないと、そんな殊勝な気持ちにはならない? 二つ目は、 『benli』 小倉弁護士の言うように法律の方からプレッシャーをかけること。「原盤権者に対して、楽曲のオンライン配信について日本国内又は他のG8参加国内にある事業者の一つにライセンスを付与した場合、他の事業者に対しても、少なくともそれと同程度の条件でライセンスを付与することを義務づける」と。
 いずれにせよ、そうした方面での議論は(一般にも審議会でも国会でも)全く始まっていない状態だから、そこから始めなければならないのだろうけど‥‥。国ごとに市場を分割しようとする動きはかつてから指摘されていたところ。 iTMS もそうだし、 DVD のリージョンコードも、 Dual Disc もそうだ。流れとしては そちらへ行きつつある現状、我々には何ができるだろうか? 何をすべきだろうか?
 ポテンシャルとしては自由に国境を越えていけるコンテンツ(データ)というものが、供給側の思惑で その「自由」を奪われているのは不当なこと(の筈)だ。しかし、こちらの方向にばかり行ってしまう「コンテンツ振興」って何なのだ?