「閲覧権」の次は「ネット権」だと。

 あまりに酷い話で、思わず Twitter に書き殴ってしまったんだが、 MakeYourDay の自動投稿の前に先行して転載しておく。


 なんじゃこりゃ。 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0803/17/news105.html
 著作権絡みの提言をするのに「〜権」などというレトリックを用いる時点で「有識者」失格なわけだが、その第一印象を地でいく提言のようである。要は映画会社が映画を配信する際に、原権利者の権利を切り下げて自分のものとして取りあげてしまうような内容に読める。
 映画と言えば、その著作権は著作者たる監督らから強制的に取りあげて「映画製作者」へ帰属することとなっているわけだが、それに近いことを公衆送信権送信可能化権含む)でもやってしまおうというハラか?
 何せ「ネット権」とやらの定義が「映画の製作、レコードの録音、放送についての同意をえている場合には、(1)ネット上に限定し、そのデジタルコンテンツを流通させるための複製、譲渡その他の使用を行う権利と、それをほかの者に行わせることを許諾する権利を専有する」。誰が「専有」するだと?


 原権利者の公衆送信権送信可能化権含む)を制限してネット流通を促進しようという考えであれば、その公衆送信と送信可能化を許諾される者が誰かひとりであってはならない。競争が阻害されるからだ。
 必要なのは映画会社に権利を集中させることではない。配信を望む事業者なら誰でも許諾を受けられるような制度作りであり、それを拒否できる者を無くす努力だ。権利を制限されるべきは映画製作会社自身*1著作権なのだと知れ!

*1:ちなみに「ネット権」者として想定されているのは映画会社の他に、レコード会社と放送局なのだそうな。つまり著作者本人ではなく旧メディアの流通事業者にネットでの流通権限を持たせようという話。ネットでコンテンツが流れない最大のボトルネックはこいつらだっての!