日経記事からスピンオフ──作曲家は「搾取」されているのか?

http://cdvnet.jp/modules/news/article.php?storyid=615

http://www.amvox.co.jp/entrance/vision/

http://ohbentoh.blog16.fc2.com/blog-entry-18.html

http://xtc.bz/index.php?ID=184

 私的録音補償金iPod 課金で注目された日経記事だが、この記事でコメントを寄せていた JASRAC 評議員(そして作曲家)の穂口雄右氏の発言も話題になっている。日経記事での発言自体も(「悪の7団体」とは正反対の)ユーザー側に立ったものだったが、自身が関わる音楽学校・アムバックスのサイトで更に過激な意見を表明していた。私が読んだ中では『ふっかつ!れしのお探しモノげっき』が早く紹介していた穂口氏の主張は、要するに、CD販売から作曲家が得る収入が少なすぎるという話。
 「1枚のアルバムCDから一人の作曲家に分配される印税は契約によって、良くて定価の 約0.14%、 多くは 約0.1%、 許せないのはたったの 約0.05% しか支払われなケースが増えているという事実です。つまり音楽ファンが14曲入り3000円のCDを買っても、その作品を作った音楽家一人には、時にはわずか約1円60銭の収入にしかならないのです」。これだけ見るとかなりショッキングな話。
 もっとも、この話には反論が出ている。『著作権マニア』の記事によると、上の数字 (0.14%) はアルバム 14曲中 1曲だけに作曲で参加した場合の数字だという。「他の 13曲は 全く関係ないことを思えば、ケーススタディとしてはちょっと悪意を感じずにはいられません」と。ただ、この記事の主張は、現在の慣行を甘受しろという流れになってしまい、どうも納得しがたい。穂口氏の話にしても、『著作権マニア』の記事にしても、ここを足がかりに まず数字を具体的に洗い出さないと評価できなさそうだ。
 中間で関わってくる各種団体の取り分が本当に多いのか少ないのか。多すぎれば「搾取」と呼ばれても仕方ないわけで、議論の余地がある。まぁ、俺が関連書籍を買って読めば済む話か? こうした音楽ビジネスの実態がもっと明らかになって欲しいんだけどなぁ。今まで音楽ユーザーの目からは遠ざけられてきた部分な訳だし。それが積もり積もって、バカ高いCD(しかも再販制)があり、音楽活動の窮屈さがあり、音楽ユーザーへの抑圧があるのだから。少しずつでも、そのメカニズムを解明しないと。
 穂口氏の文章に戻ると、「作曲家が承諾していないにもかかわらず、契約しないまま自社の管理楽曲と偽って著作権料を横取りする」例としてテレビ朝日ミュージックの話にも触れている。これの詳しい話は後日に同サイトで展開されるのだろうが、それを補足する形で『音楽配信メモ津田大介氏(最近大活躍)も記事を上げている。「『ミュージックステーション』に出演する場合、音楽出版権をテレビ朝日ミュージックに預けるのとバーター」だそうだ。あと津田氏の考察の方も必読の内容。