『星の王子様』をめぐる岩波書店の対応

http://www.asahi.com/culture/update/0623/001.html

朝日新聞に「『星の王子さま』新訳書名で要望書 岩波書店」との記事。『星の王子さま』原著の著作権が切れたために、それまで岩波書店の独占出版だったのが数社から新訳で発売されることになった。ところが この邦題も元祖岩波版の翻訳者・内藤濯氏の創意の賜だったらしい。よって新訳には この題名を使うべきでないのでは──との問題提起が岩波書店から出ていたのだが‥‥。▲結局、岩波書店が“大人の対応”をすることで決着する感じ。もともと題名には著作権が発生しないので強く出ることも叶わなかったという事情はあるにせよ、内藤氏の創意に敬意を払うべきという岩波側の主張に私は共感する。この事実を本の扉裏や あとがきに明記すること(これ自体は大した手間じゃなかろ)で、あんなにも魅力ある題名を問題なく使えるようになるのだから、ぜひ後発出版社には応じて欲しいところ。宝島社は応じるとのこと。論創社では既にあとがきで触れていて、扉裏に関しては相談中だとか。文化の担い手を自負するのであれば是非。▲文化への敬意について考えるとき、その対象は必ずしも著作権のとイコールではない。著作権が発生しないから蔑ろにしても良いというものじゃないんだ。そのあたりは忘れないようにしなきゃ。